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寺田克哉さんが家に遊びに来た。

by 小島健一

イラストレーターの寺田克哉さんが我が家に遊びに来てくれた。
寺田さんとはもう10年くらい前に、鋼鉄造型士の倉田 光吾郎さんの工房でニアミスして、その後縁のないままボクは長崎の離島「池島」に引越してしまったのだが… 「軍艦島→池島を巡るクリエーターズツアー」を実施した際、なんと寺田さんが参加して、池島で絵を描いてくれたのだ。
参考:寺田克也作「悟空、池島を飛ぶ」が池島中央会館で見れます。

それ以来、寺田さんが長崎に来る時はだいたい声を掛けてくれて、一緒に酒を飲んだり、女神大橋に登ったり、長崎の裏路地を探検して遊んだ。

一緒にインタビューを受けたことも。

閑話休題

前置きが長くなった。今回、寺田さんは「九州に用があるからついでに行くよ!」とフットワークかるく新幹線を使ってボクの住む薩摩川内まで来てくれた。寺田さんは事前に「武家屋敷を見れればそれでいいから」と伝えてきたけれど、せっかく来てくれるなら「川内を案内しますよ」とボク。
本題からズレるので簡単に書くと、浜の茶屋、生頼範義さんが描いた薩摩川内名誉市民の絵、高城温泉、新田神社などをご案内。もちろん入来麓も案内し、清色城跡の切通を絶賛していただいた。
夜は地元の人たちも集めてちょっとした飲み会を行い、早めに切り上げ、24時をまわる前に就寝。

起床直後、絵を描きだす寺田さん

午前6時にアラームをセットし、お互いきちんとその時間に起き、ボクは眠気覚ましにコーヒーを淹れにキッチンに行きお湯が沸くまで広間に戻ろうと帰ってくると… すでに寺田さんは掛軸に絵を描き始めていた。まだ起床5分後くらいのことだろうか。
(今回、「宿泊料は絵で返す」と言われていたので無地の掛軸を用意していたのだ)

寺田さんは一切下書きなしに迷いなく線を描いていく。細密でいて、大胆だ。
次々と別の要素を足していき、しかしバランスよくひとつの絵を編み上げてしまうのだから圧巻だ。

時々離れて絵を見たりすることもあるが、手を止めている時間は長くて数十秒。足りなかったところにサササッと線を足していく。
そうこうしているうちに約1時間で書き上げてしまったのがこちらの絵。

武家屋敷ということから兜から書き始め、最終的にこのようになった。
寺田さんが絵を描いている最中、ボクは少し離れた縁側でコーヒーの焙煎をしていた。完成時「なんだかわからない絵になった」と寺田さんは言っていたが、この絵の片隅にコーヒーの絵まで入れてくれた。いやはや本当にありがたい。ボクの要素も混ざった世界でひとつの掛軸が誕生したのだ。 
 
ボクはコレクターではないので、この絵は後生大事に桐箱にしまっておいたりはせず、いつでも今日という日を思い出せるよう目に付く場所に置いておこうと思う。ボクは特に宝物など持たぬ人間だけど、この掛軸は心の時空を超える、紛れもない「宝物」だ。


小島健一
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